常盤平幼稚園

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月別アーカイブ: 2020年5月

こねこのウィジー

2020年05月30日

2月の初め、レストランのお仕事が忙しい
つきぐみさんのとしょかんの一冊。

konekonowizzy

さく・ハリエット・M・ジーファート
え・ドナルド・サーフ
やく・加藤チャコ
1995.5 福音館書店刊

この絵本を手にもって頁をひらき「これがこねこのウィジー いつもおひさまといっしょにはねおきて・・・」という言葉と同時にベッドから”ぴょん”ととび起きるねこの姿が目にとび込んできました。

”いそいでミルクをゴクゴクゴク それから・・・
そとにとびだします。ことば通りに絵があってまさに絵と文が一体です。

ウィジーはどろんこ道をころがったりバケツにかくれたり、ちょうちょを追いかけたり、ひとり楽しく遊びますが・・・・「ここはどこ?」かえりみちもわからなくなっちゃった。

「あたしまいごになりたくないよう」
ウィジーはおんおん泣きますが・・・
すぐに元気を取り戻し、木の上から見渡したり、てんとうむしにたずねたり・・・
すると道にあしあとが・・・
「もうあたしまいごじゃないよ!」帰り着くとお母さんが戸口で迎えます。

「おかえり、おりこうさんのウィジー」
「ちゃあんとばんごはんにまにあったわよ」
「あたし、ちょっとこわかったけど」
「でもたのしかった」
美しい色彩、選び抜かれたことばの中にウィジーの何気ない日常を幸せ感いっぱいに描かれています。

その日常の中にも幼い子どもにとっての大冒険があり、自分で勇気を奮い起こしながら切り抜けるエネルギーをこどもはちゃあんと蓄えています。

とてもよく聞いていたつきぐみさんは”よかったおうちにかえれて””かわいいね”という言葉を残してくれました。

ぽとんぽとんはなんのおと

2020年05月26日

2月終り、あちらこちらから春の気配がしてきた日に
うめぐみさんのとしょかんでよんだ一冊

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1980年2月1日福音刊書店より

野原に山に雪に降り積り、冬ごもりの穴の中、くまの母さんは双子のぼうやを産みました。ぼうやはおっぱいのんではくうくうねむって大きくなりました。

ある日ぼうやは「かーんかーんっておとがするよ。かーんかーんってなんのおと?」するとかあさんがこたえました。「きこりがきをきるおとでしょう。とおいもりからひびいてくるの。

でもだいじょうぶ。きこりはここまでこないから。ぼうやはゆっくりおやすみね」「ほっほう ほっほう」「つっぴぃつっぴぃ」「どどーっどどーっ」冬ごもりの穴の中に聞えてくるふくろうの声やひがらの声、なだれの音、その度に”なんの音?”とたずねるこぐまに母さんぐまは安心出来るよう優しく答えます。

話を聞いているうめぐみさんもさかんに”ふくろうだよ””ことりだ”等、何の音かに想像をめぐらしていましたが「ぽとんぽとんってなんのおと」を読んだ瞬間、”つらら!つらら!”と声が返ってきました。

ページを開くと見開きいっぱい穴ぐらから見る銀世界、その入口の大きなつららから雫が落ちているのでした。

春風が運んだ春の匂いに誘われ穴ぐらから出ていく親子のくまを待っていたのは、可憐なかたくりの花でした。

この絵本は冬から春へと向かう雪国の風情、空の色、陽のひかり、全てを感じさせ、そんな自然を懐にして愛情いっぱい穴ぐらの中で子育てする母さんぐまに身も心も委ねきったこぐまの幸せを詩情豊かに語ります。是非出会ってみて下さい。

うまかたやまんば

2020年05月22日

umakatayamanba
おざわとしお 再話
赤羽末吉 画
1998.10 福音館書店刊

昔、ひとりの馬方が山姥に襲われ、積荷の魚から馬まで丸ごと喰われた挙句、馬方をも喰わんと追ってくる中、命からがら一軒家の梁へ登り、ほっとした矢先、山姥がやってきます。

馬方は囲炉裏で背中あぶりしながら居眠りする山姥の甘酒をかやを抜いてつっぱつっぱ吸うは、餅をつくんとさしてはつりあげ、皆喰ってしまうのです。

”のんだのはだれだ””くったのはだれだ”と怒る山姥に馬方が”ひのかみ、ひのかみ”とささやき、木のからにとに入って寝た山姥に煮え湯をどーっとつぎこんで仇をうちます。

うめぐみさんは、山姥の形相といい「うまのあし いっぽんおいてけ。おかなきゃ、おまえをとってくうぞ」と今にもとびかからんとする絵の迫力に圧倒され固唾をのんで聞き入っていましたが、一本、又、一本と足をぶったぎられた馬が”がったがった”と逃げるとその様が面白いのか「あっはは」と笑いがおこりました。

実はこの笑いは今回だけではありません。必ずといっていい程です。絵をみると、生々しさは全くなく、図形のような描き方です。なるほど・・・と思いました。

うめぐみのみんなは最後まで迫力いっぱいのこの絵本をとても楽しみました。
お話といい、絵といい、最高の昔話絵本です。是非、出会ってみて下さい。

ぬくぬく

2020年05月17日

2月の寒いある日、そらぐみさんのとしょかんでよんだ一冊です。

nukunuku

天野祐吉 作 梶山俊夫 画
1980.1.1 福音刊書店

さむがりのようかい「ぬくぬく」は身体にいっぱいわらを巻きつけ「ぬくぬく、ぬくぬく」とつぶやきながら山の中を歩き回る。
ぬくぬくが通った後、ひんやりつめたい風がふく。
雪の中、ぬくぬくに身体をすり寄せられた者は震えで三日寝込むといわれる。

ある日のこと、ぬくぬくが身体をすりよせた相手は可愛い女の子。

逃げるどころか、ぬくぬくについてきて、山芋をいっしょに食べた挙句、ぬくぬくの膝枕で寝てしまった。

仕方なく、ぬくぬくは女の子を背負い、里に下り、戸口にそっと置いてくる。

翌日もぬくぬくは女の子を気にしながらいると、何と身体にわらを巻いた一団・・・

多勢のこどもたちが「ぬくぬく ぬくぬく」と声をあげながら通りすぎてゆく。ぬくぬくはうきうきし、身体中ぬくもり、行列について歩き出した。

行列が始まったあたりからそらぐみのみんなは笑うこと笑うこと

ぬくぬく ぬくぬく かおだせ しりだせ

ぬくぬく ぬくぬく どいつがぬくぬく あいつがぬくぬく 

ととなえながらとしょかんをあとにしました。

ひゃくにんのおとうさん

2020年05月10日

2月の初め、うみぐみさんのとしょかんの一冊

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譚小勇・天野祐吉 文 譚小勇 絵

昔、山奥の村で畑を耕していた若い夫婦がとてつもなく大きなかめを掘り出し、のぞき込んだ拍子に被っていた傘がかめの中に落ち、拾いあげると何と!!百枚もの傘が出てきました。

夫婦はこの魔法のかめを持ち帰り、鉄なべも試し、村人たちに分けたのですが、噂を聞いた地主が夫婦からかめを奪いとってしまうのです。

さて地主が暗いかめの中をろうそくの火でのぞいたひょうしにかめの中にろうそくが落ち、百ばいの炎が燃えあがり、「みずだ、みずだ」とかけた水が百ばいとなりました。

「このさわぎはなにごと」と奥から地主のお父さんがやってきて、のぞこうとしたところ、台がすべって、お父さんはかめの中に落ちてしまいました。

「たすけてくれえ」の声で地主はお父さんをかめからひっぱり出したのですが・・・・「たすけてくれえ」と又・・・・おとうさんが・・・なんということでしょう、かめの中からひゃくにんのおとうさんが出てきたのです。

うみぐみさんのとしょかんでこの絵本が出ていると、必ず誰かしらが、”これおもしろいからよんで”と声がかかります。そして読むと、必ずやおとうさんがひゃくにん出てくるところで大爆笑になるのです。

うみぐみさんとは切っても切れない懐かしい一冊かもしれません。この絵本の作者、譚さんは「私が幼い頃、母親から聞いた物語。おもしろくて大人になっても覚えていて、日本の子どもたちに紹介したいと思った」と語られています。

ねこのごんごん

2020年05月07日

そらぐみさんの2月の初めによんだ一冊

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大道あや さく/え
1975.4 福音館書店刊

お腹をすかせた小さな迷いねこが辿りついた家には先住の年寄りねこの「ちょん」、いぬの「のん」が居ましたが、ちょんはこの迷いねこを家主のおばさんに飼ってもらうよう計い、”おまえは名なしのごんべえだから、ごんごんだ”と名付けます。

ごんごんはちょんにくっついて寝食を共に過ごしながら、手とり足とりこの家で暮す術をちょんに教えてもらいます。戸の開け方、木から安全に降りる方法、池の魚には手を出さないこと、そしてその都度、ちょんは「なにごともじぶんでおぼえるがかんじん。わかったか」といってごんごんをなめてくれるのです。

そらぐみさんは「なにごとも・・・・」と始まるや「またいった・・・」と笑い出します。

月日が流れ、ごんごんは成長していきますが、ちょんは年老いてねずみも取れなくなったある日、動かなくなり、土に埋められ、ごんごんはねずみを供えます。

ちょん亡き後、ごんごんが失敗しても誰も教えてくれず、ごんごんは自分で考えることにしました。ごんごんはちょんの言葉「なにごともじぶんでおぼえるがかんじん」をよく覚えていて、ちょんよりもりこうでつよいねこになりたいとおもっていました。

そらぐみさんはこの絵本に描かれ登場する数え切れない木や草花、鳥に虫に生きものたちを飽かず眺め豊饒な自然と物語を心に刻んだことでしょう。作者 大道あやさんは絵筆を握ったのは60才過ぎてからだそうです。

そしてこのお話の舞台となっているのは、埼玉県にある丸木美術館の敷地の中だったと最近知りました。この絵本の魅力は、話の面白さは勿論のこと、登場する草、木、花、鳥に虫にたくさんの生きものたち、全てが活き活き、生命力がみなぎっている様です。是非出会ってみて下さい。

おおきくなりすぎたくま

2020年05月03日

うみぐみさんの1月のとしょかんでよんだ一冊

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リンド・ワード 文・画
渡辺茂男 訳

ジョニー・オーチャードは村のどの納屋にも干してあるくまの毛皮を見る度、自分の家にないことにプライドを傷つけられていて、「いつかきっと一発でしとめるぞ」と心に決めます。

ある日、迷子の子ぐまに出会ったジョニーくんはかえでさとうで手な付け、家に連れ帰りますが、何でも食べまくるこぐまは他の家の畑や納屋を喰い荒らし初め、見上げるようなでかいくまとなり、近隣中のやっかいものになってしまいました。

モノクロ写真のようなリアルな絵の迫力と、大人となったくまの凄さにうみぐみさんは”すっげえ”とつぶやき、巨大となったくまに只々驚いているような様子でした。

お父さんはジョニーくんに言います。”もりにかえさなければ。”と言います。ところが翌朝くまが顔を出します。うみぐみさんはほっとしたのか大笑いです。

次は東、南と置いてくる度にうみぐみさんは”またもどってくるよね”とつぶやきます。残された途はひとつ。でもジョニーくんはてっぽうにたまをつめることができません。としょかん中に緊張感がはしります。

ところが突如くまはジョニー君を連れて突進し、かえでさとうの入ったおりに閉じ込められるのですが、それは動物園に送るためのくまを探すわなだったのです。くまは命拾いし、ジョニー君はかえでさとうをもって会いにいくと約束します。

毎年5才になったクラスで読んでいます。うみぐみさんもこのお話の中でジョニー君やくまの気持を想像しながら楽しんだことでしょう。

1952年アメリカの最優秀絵本賞コルデット賞を受賞しています。

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