常盤平幼稚園

今日の一冊

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もりのなか

2020年01月18日

ことばの大好きな3歳のクラス つき組さんが楽しんだ絵本です。
IMG_1976『もりのなか』

マリー・ホール・エッツ ぶん・え
まさきるりこ やく
(福音館書店)

ぼくは、かみのぼうしをかぶり、あたらしいらっぱをもって、もりにさんぽにでかけると、そこで出会う動物たちが次々ぼくのさんぽについてきて、行列になります。「ぼくがらっぱをふくと、らいおんはほえ、ぞうははなをならし、くまはうなり、かんがるーはたいこをたたき、こうのとりはたくちばしをならし、さるはおおごえでさけんでてをたたき、うさぎはなにもいわないで、ぼくのさんぽについてきました。・・・」と読んでいると、つきぐみさんが笑い出しました。動物たちがそれぞれ思い思いに好きなものを持ったり、身に付けたりして、とても楽しそうに行列している様子がおかしかったのでしょう。森で遊んだ経験のある方は、きっと、この物語に幼い時の森の空間を思い出されることでしょう。もりというところは、神秘で、何か出てくるような気配がして、何が出てきても不思議ではない、そんな空間です。

ぼくともりのどうぶつたちは、たくさん遊んだ後、かくれんぼをしますが、ぼくがおにになって、「もういいかい」と目を開けると、動物は皆姿を消し、お父さんがいました。お父さんは聞きます。「だれとはなしてたんだい?」
「どうぶつたちとだよ。みんなかくれているの。」
「だけど、もうおそいよ。うちにかえらなくちゃ。きっと、こんどまでまっててくれるよ。」
そして、ぼくはおとうさんのかたぐるまにのって、帰りながら、「さようならぁ。みんなまっててね。またこんどさんぽにきたときさがすからね!」と終わります。現実を象徴するお父さんが登場しても空想の世界はそのまま “ぼく” の中に残ります。すぐに現実に引き戻さず、こどものファンタジーの世界をそのまま護れる大人はきっと、このぼくのように幼い時に空間の世界でたっぷり遊んだ経験の持ち主だからでしょう。どのこどもにも、そんな子ども時代を過ごさせてやりたい・・・と、つくづく思います。

 

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