マドレーヌといぬ
11月のうめぐみさんのとしょかんで楽しんだ一冊。
「マドレーヌといぬ」
ルドヴィッヒ・ベーメルマンス 作画
瀬田貞二 訳
1973年5月10日 福音館書店刊
パリのあるふるいやしきに、ふっても、てっても9時半にさんぽに出かけるミス・クラベルと12人のおんなのこたちがいましたが、ある日、一番のおちびちゃん、マドレーヌがすべって川へ落ち、すんでにもくずとなる身を1ぴきの犬が救います。
命の恩人のその犬を共に連れ帰り、” ジュヌビェーブ ” と名付け、共に楽しく暮す中、学校検査の日がやってくるや ” いぬはがっこうにはいるべからずですよ。さっさとうせろ!ごろつきめ! ” とジュヌビェーブは追い出されてしまうのです。
「ジュヌビェーブほど、えらいいぬはないわ。あなたにはてんばつがくだりますから!」とマドレーヌが叫びます。
ミス・クラベルと12人のなかまはジュヌビェーブをさがしにさがしますが、見つからなかったその夜、” ようすがどうもへんですね ” とミス・クラベルがかけつけると...
外灯の下にジュヌビェーブがいたのです。
一見落着・・・ところが何と3度目、ミス・クラベルがはしりにはしって駆けつけると・・・
” びっくりぎょうてん ”
” ちょうどみんなのかずだけこいぬがうまれていたんですもの。”
うめぐみさんは読み始めから ” しーん ” と耳を澄まして聞いていて、まるで言葉が吸い取られているようでした。
最初、” マドレーヌしってる、よんだことある ” って言っていた方も ” おもしろかった。この本かりてく ” となった程です。
<げんきなマドレーヌ>に始り<マドレーヌといぬ><マドレーヌといたずらっこ><マドレーヌとジプシー>の4冊はどれもとても面白くおすすめです。
この絵本を訳されている瀬田貞二氏は ” ・・・いつもいつも楽しく酔わせるような陽気な活気があって、それがみな闊達自在な絵から物語を発酵してくるためなのでしょう。 ” と言われていらっしゃいますが、これを訳して下さっている瀬田貞二先生のことば・・・ ” もくずになるみ ” ” てんばつがくだる ” とか ” すわ、いちだいじと、はしりにはしって ” 等々、こどもには難しいのでは・・・?と思いきや、いやいや、こどもたちは心地よく聞いています。
いつか、自分の言葉として使っていくことでしょう。この幼い時にこんなに豊かな言葉を味わえるなんで・・・瀬田先生に感謝です。