かんちがい
2月の初めにうみぐみさんとよみ始めた動物シリーズ。
2月の末日、シリーズの<5>を読みました。
かんちがい
アフリカサバンナの動物シリーズ5冊目は共に赤ちゃんを抱えたお母さん同志の間で起こったお話です。
ページを開くと、赤ちゃんを連れたサイのお母さんの横腹の大きな傷が目にとびこみます。いったい何が起こったのでしょう・・・?
サイの親子がおいしい草を求め、少し離れた森の側で草を食べ始めていると、森の中から赤ちゃん象がサイの赤ちゃんを仲間とかんちがいして近づいてきて二ひきはお互い相手を確かめ合っているのをみたサイのお母さんがこどもがいじめらているとかんちがいして走ってきたところに・・・
やはりこどもを心配した象のお母さんがサイのお母さんの脇腹を角で突いてしまいます。傷ついたサイのお母さんはどうなったでしょう・・・?
幸運にも翌朝だいぶ元気を取り戻したサイのお母さんの脇腹の傷を4羽のサイドリがきれいにしています。
アブやダニを食べて悪い病気からまもっていました。
3学期、この動物シリーズを読み始めてから、うみぐみさんはとしょかんに入る度に先ずこのシリーズの続きを・・・とたくさんの方の熱い期待の合唱。
それ位、この動物絵本は生命力にあふれ、野性そのものを感じさせてくれる他に類を見ない傑作です。
「絵本・物語るよろこび」(松居 直著 1990.9刊・福武書店刊発行)で吉田遠志さんを松居直先生は
「・・・動物を描いた画家、描ける画家は世界に数多くいるにちがいありませんが、こうした眼と腕で野性を物語をとおして描ける画家は決して多くはありますまい。吉田さんの絵本には、西洋的なものとちがう自然観、あるいは哲学のようなものが感じられます。まさに日本人の眼と感性がとらえた”野性のアフリカ”です。」と語られ「アニマ」107号の吉田さんの記事を紹介されています。
肉食動物は草食動物を食べるが、満腹しているライオンなどは見える所にいる動物でもとらない。草食動物は繁殖力が強いから自分たちの食物がなくならないためには数を制限する事が必要で、肉食動物とバランスをとっている。人間は家畜を食べるために皆殺しにするが、肉食動物は狩りをしても逃げられるものにはその機会を残している。無意味な殺生はしない。毛皮や牙をとったり、スポーツと称したりして動物を絶滅させてはいない。どちらが悪いかは明白である。犬を飼った人なら誰でも知っているように、仲間を裏切らない。こう考えて私は動物を愛し、その画を描いているから、「食うか食われるか」というような闘争の光景は描かない。うまく逃げられたり、群れを護ろうとするような光景ならば描いても良いなと思う。いくらでも素晴らしい題材がある。
上記の文章を紹介された後、松居先生は「動物や自然を愛する心は、幼い時から養われねばならない」という吉田遠志さんの心を、この絵本は幼い人々に伝えるでしょう。とあります。今後もこの動物シリーズは、大切によみ継がれていくことでしょう。
この一年を通してしみじみ感じたことは、つきぐみさん、うめぐみさん、うみぐみさんのどのクラスも一人のこらずの方たちがとてもとてもことばが大好き、絵本が大好きでとしょかんに入る度に”凄い”と感心しきりです。このことばの力はこれから生きていく子どもたちをしっかりと支えてくれることでしょう。