こすずめのぼうけん
ルース・エインワース さく
堀内誠一 絵
1976年4月 福音館書店
木づたのつるの中に住むおかあさんすずめはある日 こすずめに飛び方を教えます。
お母さんの教え通りに飛び立ったこすずめは見事、空中に飛び、自信満々に飛ぶうちに疲れた羽を休ませる場所が欲しくてさがします。
にれの木のだらしない巣、ひいらぎのてっぺん近くの巣、かしの木のうろ、池のほとりのあしや草の巣、
どれもこれもこすずめは遠慮がちに
あの すみませんがなかへ入ってやすませていただいていいでしょうか?と訪ねますが、
” おまえ かあ かあっていえるかね? ”
” ほうほう ほうほうっていえるかね? ” 等聞かれ、
その度に ” いえ、ぼく、ちゅんちゅんちゅんってきりいえないんです ” と答えるこすずめは、
なかまじゃないから....と断られてしまうのです。
読み進む間に心中こすずめになりきっているうめのなかまから、
” えーっ かわいそう ” ” わたしなら入れてやるわ! ” 等、
同情のことばがしきりと耳に入ってきます。
やっとお母さんすずめにめぐり会えた瞬間、” よかった ” の声が聞こえてきました。
お母さんを安堵させたことでしょう。
石井桃子さんの訳文、堀内さんの絵の素晴らしさが心に刻まれます。