ロバのシルベスターとまほうのこいし
最後に5歳のクラスうみぐみさんの5月のとしょかんでよんだ一冊
ロバのシルベスターとまほうのこいし
ウィリアム・スタイグ 作
せた ていじ やく
1975年10月初版 評論社刊
ロバの子、シルベスターのたのしみは、変わった形や色の小石を集めることでした。
夏休みの雨の日、燃えるように赤く、ビー玉のようにまんまるい小石をみつけたシルベスターはその石がまほうの石だと気がつき、喜びいさんで家へ帰る途中のいちご山で何と!!ライオンに出くわし、肝をつぶしたシルベスターは思わず、" ぼくはいわになりたい " と言って岩になってしまいました。
息子の帰りを待つ両親はあらゆる手であちこち探しまくるのですが、見つけることが出来ません。
時は移り、春のある日、ダンカンさん夫婦がピクニックに来たのが偶然にもシルベスターが岩となって眠るいちご山でした。
そして母さんが腰を下ろした岩がまさにシルベスターの岩だったのです。
" 母さん "・・と気がついたシルベスターでしたが叫ぶことが出来ません。
ところが偶然父さんが赤い小石をみつけ岩の上に置くや、ダンカンさん夫婦が " ここにシルベスターがいてくれたら・・・" と願いシルベスターが " ああ、もとのぼくになりたい " という願いが見事成就し、そうなったのです。
再会の歓びに涙を流し、かあさんと抱き合うシルベスターと嬉しくて小躍りするとうさんの姿をみれば、親子の絆、愛の深さ等しみじみ感じさせられます。
2回に分けて入ったとしょかんの一冊でしたが、2回とも真剣な表情で聴き入っていたうみさんは終わった途端に何人もの方が " おもしろかった " と言い残してくれました。
松居直先生は著書の中で、「人間ーロバもですーの思いや願いが愛によって生きかえり、成就するものだということ、信じ、望み、愛することを忘れがちなわたしたちにスタイグはロバのダンカン親子の心の交流を通してもう一度考えなおしてごらんと語っているようです。
あなたの中にあるその力を・・・と語りかけているようです。・・・と伝えてくださってます。