『天の火をぬすんだウサギ』の生活が始まって、1ヶ月-。
自分のなりたいものを選び、それぞれの仲間に分かれての生活、
まずは、そのものを知るところから、始まりました。
ウサギは、どんな風に跳ねているのか?
カラスは、どう飛ぶのか?
アライグマは、なんで洗い屋さんをするのか・・・?
広いホールに行って、実際に動いてみたり、
図書館に行って絵本や図鑑で調べてみたり、
しょうぶ公園にまで、足を運ぶ仲間の姿もありました。
そうして、調べていく中で・・・
カラスは、卵で生まれること。
シカは、時速55キロで走ること。
シチメンチョウは、「ごぶる、ごぶる」と、なくこと。
などを知りました。
知ることで、ますますその仲間への想いが増していき、生活を深めていきました。
そうして、先日、初めてしょうぶ公園で、『天の火をぬすんだウサギ』をしました。
(まだ、身に着けるものは、つくっている途中の方もいますが、みんな気持ちは、すっかりそのものに成り入ってます。)
『天の火をぬすんだウサギ』
ジョアンナ・トゥロートン 山口 文生訳
むかし、この地上には、火がなくて、どこもかしこも、さむかった。
「さむいねー。」
「だれが、火をとってくる?」
「いちばんかしこいのは、ウサギ。いたずらにかけては、おうさまだ。」
ウサギは、でかけた。天の人のすむ、山に、天の火とりに・・・
- - - - -
ここは、天の人のすむ山。
「こんにちは、天の人」
「あたらしいおどりを、おしえてあげにきましたよ。」
「ウサギは、おどりをおしえた!」
「ウサギは、たき火のまわりをぐるぐるまわった。」
「そのとき、ぼおっ!はねかざりに火がついた!
ウサギは、すかさずにげだして、ひっしで、山をかけおりた。」
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「やがてウサギは、つかれてきた。」
「リス、リス、はねかざりをとってくれ!」
「しばらくすると、リスもつかれてきた。」
そして、アライグマ・・・
シチメンチョウへ・・・と、はねかざりは、託されていきました。
でも、シチメンチョウは、そんなにはやくはしれません。
だいじな火は、もうすこしできえそうだ。
そこへ現れたのは・・・
「わたしのしっぽに、うつしなさい。」
シカのしっぽに、火はうつされた。
木々は、火をうけとると、森のなかにかくした。
でも、ウサギはしっていた。
二ほんのえだをこすると、そこから、ぽっと火がもえた。
火は、ここにかくされていたのだ。
このときから、ふゆはあたたかく、よるはあかるく、くらせるようになった。