子どもたちが描いたたくさんの旗が空高く掲げられ、待ちに待った運動会。
「ただ今より、第59回 運動会を始めます。」
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「ページェント 『天の火をぬすんだウサギ』 」
むかし、この地上には、火がなくて、どこもかしこも、さむかった。
「さむいね。」
山の上には、火があった。
まもっているのは、天の人。
でも、天の人は、火をくれないし、山は、うんとたかかった。
いちばんかしこいのは、ウサギ。
ウサギは、きれいなはねかざりをつくった。
もえやすいマツヤニを ぜんぶのはねに、ぬりつけて。
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「みんな、だまされちゃいけないぞ。」
「あたらしいおどりを、おしえてあげにきましたよ。」
「このおどりをおどれば、トウモロコシははたけにいっぱい、あみのなかには、さかながどっさりとれますよ。」
天の人は、ウサギの話をすっかり信じ、おどりを教えてもらうことにした。
ウサギは、たき火のまわりを、ぐるぐるまわった。
みんなも、ウサギのあとを、ぐるぐるまわった。
ウサギは、おどりながらうたをうたい、たき火にちかづいて、おじぎをした。
みんなも、まねして、おじぎをした。
ぐるぐる、ぐるぐる、ウサギはおどって、ひくく、ひくく、おじぎをした。
ウサギははしり、天の人は、そのあとをおった。
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はしってはしって、やがて、うさぎはつかれてきた。
「リス、リス、はねかざりをとってくれ」
リスは、はねかざりをうけとると、いっしょうけんめいかけだした。
リスがはしっていくうちに、火のねつで、リスのしっぽはまるくなった。このときから、リスのしっぽは、せなかにくるりとまきあげられている。
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しばらくすると、リスも、つかれてきた。
「カラス!はねかざりをとってくれ。」
カラスは、はねかざりをうけとると、まいあがった。
とちゅう、火のすすは、カラスのはねを、くろくした。
このときから、カラスは、くろいとりになった。
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カラスも、そのうちつかれてきた。
「アライグマ!はねかざりをとってくれ。」
アライグマは、はねかざりをうけとると、はしりだした。
とちゅう、火のこがしっぽとかおをやいた。
アライグマのしっぽとくろいかおのふちどりは、このときからでいきた。
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アライグマも、やがてつかれてきた。
「シチメンチョウ!はねかざりをとってくれ。」
シチメンチョウは、はねかざりをうけとると、はしりだした。
とちゅう、火は、あたまとくびのはねをやいた。
このときから、シチメンチョウのくびから上には、はねがない。
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シチメンチョウは、そんなに はやくはしれない。
だいじな火は、もうすこしで、きえそうだ。
「わたしのしっぽに、うつしなさい。」
このころ、シカのしっぽは、ながかった。
シカは、しっぽに火をうつすと、地をけった。
火は、かぜにあおられて、さかんになった。
シカは、あたりの木ぎに、よびかけた。
「もりよ、もりよ、火をかくしておくれ!」
木ぎは、火をうけとると、森のなかにかくした。
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天の人は、あきらめて、山にかえった。
森のかくした火を、みつけられなかったからだ。
でも、ウサギはしっていた。
そこから、ぽっと火がもえた。
火は、ここにかくされていたのだ。
このときから、火は、地上にもあることとなり、ふゆはあたたかく、よるはあかるく、くらせるようになった。
おしまい
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「5歳のクラス うみぐみ そらぐみによる
メイポールダンス もりのかじや」
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秋晴れの1日、子どもたちとおかあさま、おとうさまと共に、心あたたかな時間を過ごせたことを、心より感謝いたします。
ありがとうございました。