『子どもの村は子どもでつくろ、みんなでつくろ。赤屋根、小屋根、ちらちらさせて、みんなで住もうよ。(「子供の村」北原白秋より)』
『ぼうけんのなかま』『とどけるなかま』『れすとらんのなかま』に分かれていよいよこどものむらを創る生活が始まります。
3歳児クラスは『れすとらんのなかま』。4歳児クラスと5歳児クラスは合同で、『ぼうけんのなかま』か『とどけるなかま』に分かれます。
そらぐみのお部屋に集まった『とどけるなかま』は合わせて40人、クラスを越えて集まった仲間たち。むらで一番の大所帯です。
「何を届けたい?」
「ぷれぜんと!」
「がっそうとか、げきとか」
「ひと!」
「おようふく!」
「おてがみ!」
「おてがみは誰が書くの?」
「おきゃくさんみんな!かいてもらったら、とどけるなかまでそれをとどけるの」
お部屋にあった絵本「どうぶつサーカスはじまるよ」を見て、楽しげなカンガルーのおてがみのアイディアを思いつきました。
そこからさらに、どんどんアイディアがひろがっていって...
「おさかなのくちから あぶくがでるおてがみはどう?」
「おうちがあって、まどから じがよめるのは?」
「かばんのおてがみは?」
誰かが虹と雲の絵を描いていました。
「なんだかこれ、かばんにみえるね」
ある日、『かぶさんとんだ』の絵本を見ていると、虹と雲が出てくる場面が....
「かぶさんがくもからでてきて、そらをとんでるみたいにできるかな?
かぶさんをひもでつないで、おてがみがかいてあるの!」
(左)「どうぶつサーカス はじまるよ」西村敏雄(こどものとも)
(右)「かぶさん とんだ」五味太郎(福音館書店)
さっそく何人かのこどもたちがいろいろ試作をしてみて、みんなに伝えてみたところ大好評。
こうして、かばんとおてがみという特別なかぶさんのおてがみが生まれました。
ある朝、何人かがおはなのおてがみを描いていました。
「おはなの えのうらに、おてがみをかいてもらったらいいんじゃない?」
「おはないっこじゃなくて...はなたばにしたらどう?
なかに じがかけるようにするの」
試しにつくってみると...
「いいね〜!」
ある日、おあつまりで『わたしのワンピース』の絵本を楽しんだあと....
「わたし、このえほんだいすき」
「おはなのワンピースもってるよ!」
「ねえ、ワンピースのおてがみつくりたいな...」
そこからまた新しいおてがみが生まれました。
(中にいろんな模様のお手紙をいれることができます)
「わたしのワンピース」西巻 茅子(こぐま社)
こうしておてがみ作りにはりきっていた仲間たち、ある時、おてがみを届けるために他にも必要なものがあることに気づきました。
「おきゃくさんがおてがみをだすために、ポストがあったほうがいいよ!」
さてポストを作ろうという段になりますと...
「こどものむらのポストだからしかくじゃなくていいよね?」
「まるとか?」「どうぶつとか?」
『こどものむら』にしかないポストってなんだろう?
「ゆきだるまのポストはどう?」
「おおさむこさむみたいな?」
『おおさむこさむ』はおあつまりの時に楽しんだ絵本です。
「たしかに!おおきいし...あ!てがみをくちからたべておおきくなるってこと?」
「おもしろいね!」
こうして『おおさむこさむ』のポストとおてがみづくりに精を出すこどもたち。
「とどけるなかまのおしごとはよくわからないんだけどね、おきゃくさんはおてがみをえらんで、かいて、
ポストにだすんだよね。それだけでたのしいかな?」
そう思った仲間たちは相談して、一度お客さんを呼んでみることにしました。
さて、実際にやってみると、いろいろ問題が出てきました。
「じがかけなくて こまってるかたがいたよ」
「そりがなくて、おてがみがはこべなかった」
「きってをはらずに ポストにいれようとするひとがいた」
「なまえがなかったよ」
仲間たちは二日間に渡り、長い長い話し合いを重ね、悩み、考え、困ったことをひとつひとつ解決させていきました。
「かくにんしたら はんこをおすのはどう?」
「そりじゃなくてカバンでとどけるのは?」
やってみてわかったこと、感じたこと、考えるヒントになったことがたくさんありました。
話し合いの多い日々ですが、仲間の言葉に”うんうん”と耳を傾けます。
そして実は、この一連の中で、大切に作っている花束のおてがみをひとつ使って、『ぼうけんのなかま』に招待状を出していたのですが...
『ぼうけんのなかま』から、ありがとうのお返事のおてがみをたくさんいただきました。
笑顔があふれる『とどけるなかま』たち、こどものむらではこんな温かいやりとりがたくさんうまれるのです。
(おおさむこさむに出てくる緑のマントも、みんなで染めて作りました。)