いよいよ本格的にこどものむらをつくる生活が始まりました。
おいしいものであふれているつきぐみのお部屋の良いにおいに誘われて、うみぐみ、うめぐみの子どもたちがお客さんをしている姿があったり、おてがみのなかま、あそびのひろばのなかま、関係なく、一緒にお仕事をしている姿があったり、どのお部屋を覗いてみても、3色のエプロンが混ざり合い楽しそうに過ごしている姿があります。
それぞれのなかまが今どんな生活をしているか見てみましょう!!
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≪あそびのひろばのなかま≫
今回、あそびのひろばに集まったのは、29+2名のなかまたち。
早速あそびのひろばでどんなことがしたいか尋ねてみると
「めいろ!!」
「じぇっとこーすたー」
「のりものつくりたい!!」
「かんらんしゃ!」
今年のこどものむらで、おてがみのひろばとあそびのひろばをするという事を知る前から、めいろをつくりたいという気持ちが強かったうみさん。昨年おいしいれすとらんをつくりながらもむら全体を走っていたのりものへの憧れを抱き、その想いをずっと心にあたためていたうめさん。
つくりたいものや、やりたいことはそれぞれだけど、楽しいことをしたい!やりたい!という気持ちは一緒だからこそ、1回目のお集まりから話し合いは大盛り上がりで、
「かえれなくなるくらいこわいめいろとか?」
「のりものにのりながらめいろにいくのは?」
「それならのりものもつくれるね!!」
「めいろのなかにせんろがあって、のりものにのれるといいかも」
「いきどまりには・・・」
「どうくつとか?」
こどものむらでは自分たちで考えたものをつくれるということを経験したうみさんが、少し緊張しながらも伝えてくれたうめぐみさんのつくりたいものへの想いを、どうしたら形に出来るか考えてくれて、そこにまた新たな ‟してみたい” が重なって、どんどん想像が膨らんでいきます。
どんどん膨らむ想いをどうやって形にしていくのか_______。
0を1にするのは子どもにとっても大人にとっても難しいことで、あそぶことが大好きで集まったあそびのひろばのなかまも話し合いの日々が続きました。
そんな中、みんなで考えた海という世界観のもと、のりものを考えていた時のこと、現実の世界にあるのりものでなく、こどものむらだからこそつくれるのりものをつくりたいという想いで、海の中を泳ぐ生き物と海の上、空を飛ぶことが出来る生き物のとびうおののりものというところまではいったものの、みんなが大賛成とまではいかず・・・。
もう少し考えてみようということになりました。
翌日も朝からそれぞれのクラスでこどものむらだからこそつくれるものは何かを考えている様子が_____。
うめぐみでは
「ふねにはねはやすか、ひこうきをおよげるようにするには...。」
「なんか ばすがふねになるのあったよね?」
と、『ねじまきバス』(こどものとも)という絵本を思い出し、みんなで見ていると、絵本の中でバスが飛んでいる場面があり「とんだ!!!」と大盛り上がり、早速うみぐみのお部屋に行くと、うみぐみでは、『のってみたいな』(こどものとも 年少版)を見ながら、なにやら魅力的なつきのふねに出会ったようで。そうとなったらみんなに相談しようということで、急遽お集まりをし、2つを伝えてみると、
「ねじまきふねがいい!!」
「ねじまきのふねにはねをつけるのはどう?」
「ねじまきふねならとべるし、はしれるし、およげる!3つもいいとこあるから」
「つきのふねがいい!」
「つきならつきぐみさんよろこぶから」
「えっ、うめぐみとうみぐみは?」
「2つともつくるのは?」
(あそぶじかんなくなるのは・・・)
「つきのふねのほうがたくさんのれるよ!」
「ふねのうえにつきつけたら?」
「じゃあ、つきのふねにたいやつけたら?」
「ねじは?」
「ねじまわしたいなー」
「ねじもつけたらいいんじゃない?」
改めて絵本の力も借りながら、こどものむらだからこそつくれるものを考えてみると、現実では見たことがなく、そして2つある案の良いとこ取りをするという子どもたちの柔軟な考え方でこどものむらでしか作れないものに発想が変わっていく様子に、側にいる私たちもワクワクがとまりませんでした。
この話し合いは、7回目のお集まりでの出来事だったのですが、これまで受け身な部分が多かったうめさんも自分の考えをたくさん伝える姿がありました。そんな姿を見ていると、縦割りで生活するこどものむらの生活の良さを感じます。子どもたち同士で育ち合うこの時間、大切にしていきたいです。
冬 ー そして春 ー こどものむら
'76.2.9
(略)
子どもたちはもちろん教師から教わりますが、子ども同士から教わることが多いということを申しあげましたが、ここでは幼稚園としての生活経験の多いものが断然、作業手順の点でも能力の点でもすぐれています。したがって、仕事の能率をあげます。すると、余裕の能力が手順に不慣れな、作業にも熟達していない子どもの手助けをするということが、しばしば行われます。それぞれの持っている力に応じての相互補助、子ども同士の助け合いといった風景がよく見受けられます。
世間一般でいう友だちとは、気の合うものとか仲のよいものを申しますが、この幼稚園でいう友だちとは、気の合う合わぬ、仲のよいわるいは別にして、一つの仕事を達成するために協力しあう仲間を友だちと呼びます。
和ではなく協の人材の育成です。
『小さな窓から』親と子と教師でつくる幼稚園 p89より
こどものむらだからこそつくれるもの、みんなが楽しんでくれるもの。
めいろとのりものという2つのつくりたいものが今後どのような化学反応を起こしていくのかーーー。どうぞお楽しみに!!