ー紙作りー
いよいよ、幼稚園の楮(こうぞ)の木で、こどもたちの調べた手順に沿って紙を一から作ることになりました。
② 次に水につけた楮の黒皮をむきます。 次に甘皮というものを包丁や定規などを使って丁寧にとり除きます。この作業がとても大変で、子どもたちは「かみをつくるおしごとのひとは、まいにちこれをずっとしているんだよね。すごいね。」と言いながら黙々と仕事に取り掛かっていました。
③ 甘皮をとる
④ 甘皮を取り除いてきれいになった白皮をなべで重曹と一緒に煮立たせゴミ取りを行います。
私たちがもういいんじゃない?と問いかけても「まだごみがのこってる」と言いながら作業をする姿は職人そのものです。
⑤ 次に白皮を朝から降園の時間までたたきます。疲れたら外へ駆け出し、代わる代わる子供たちがたたく姿がありました。
いよいよ紙をすくときが来ました。沢山の工程を経て出来た楮の繊維、おくらを使ったねり、水をケースにいれて、自分たちで作った紙を漉く道具をつかい、紙を思いおもいにすくってみることに・・・・
「どうやってかみをすくのかな。」
「なんだかぼこぼこしちゃった。」
「かみどこにかわかそうか」
「たいようにちかいまどにはってみよう」
「すぐにかわきそうだね!」
乾いて剝がす時にも・・・
「なんかうまくはがせないな~」
「うすいかみができた、やっとかみになったね!」
「でもうすすぎてもじがかけなさそう」
初めての紙づくりをしてみて気づいたこと、知りたいことが沢山出てきたようで紙のことをよく知っている職人さんに来てもらうことにしました。
東京和紙の篠田さんという方に来ていただき、和紙は何で出来ているのか、和紙の漉き方、ねりに使われるトロロアオイという植物を実際に見せていただいたり丁寧に色々なことを教えて頂きました。そして乾燥してある楮の黒皮も頂き、見て聞いて学んだことを元にもう一度紙を子どもたちの力で作ってみました。
出来上がった紙をみた子どもたちは「うわ~かみができてる!」「うすくないね」「これでじがかけるよ」と自分たちで作った紙のにおいをかいだり優しくなでたり、木で作った紙のぬくもりを感じているようでした。
ー劇づくりー
出来た紙で何をしたいかうみぐみの子どもたちと話しました。
・えをかきたい
・しのださんにおてがみをかきたい
・えほんをつくりたい
・こいのぼりをつくりたい
いろいろ話し合い、26人の仲間で、自分たちで考えたこいのぼりのお話を元に『こいのぼりのぼうけん』という劇を作りました。
かなへびや、とかげなど子どもたちが夢中になっている生き物が登場し、今を目いっぱい楽しんでいる子どもたちの生活と、劇が繋がっているなと感じる一幕でもありました。
自分たちで作った紙は、こいのぼりと幼稚園中の仲間とお母さんを招待するチケットにして劇をお見せすることが出来ました。
入園して二年間、この仲間で喜びも悲しみも分かち合ってきたからこそ一か月半の生活を存分に楽しめたのだと思います。
初めて社会に出て、自分とは考えが異なる者と生活をしていればぶつかりあうこともたくさんあります。ここでは、どんなことでも話し合うことを大切にしています。自分の気持ちを相手に伝えること、相手の気持ちを聞くこと、どうしたらいいか、共に考えること、そういった積み重ねが、今の仲間関係を築き、この1か月半の生活を創り上げたのでしょう。