10月の終り、5歳のクラスうみぐみさんのとしょかんの一冊。
スーホの白い馬
大塚勇三 再話 赤羽末吉画 1967年10月1日
福音館書店刊 1973年12刷
・・・扉を開けると、馬の頭のついた楽器がうみぐみさんの目にとび込んできました。
あれなんだろう・・・という声も聞こえてきました。
むかし、中国の北モンゴルの草原にスーホというひつじ飼いの少年がおばあさんを助けながら暮していました。
ある日、スーホは白い子馬を拾ってきて、心をこめて世話をしたおかげで小馬は立派に育ち、スーホはこの馬が可愛いくってなりませんでした。
ある年、殿さまが競馬の大会を開き、スーホが一等になるや、殿さまはスーホから馬を取り上げ、スーホは傷つき帰るのですが、白馬を取られた悲しみは消えず、白馬のことばかり考えていました。
そしてある日、白馬がからだに何本もの矢をつきささせ、ひどい傷を負ってスーホのもとに帰りつきます。スーホはつらいのをこらえながら、矢を抜きました。
「白馬、ぼくの白馬死なないでくれ!」
スーホの必死の看病も及ばず、白馬は死んでしまいました。
悲しさと悔しさで眠れない夜、スーホの夢に白馬が現れ、スーホを慰め自分を使って楽器を作って欲しいと告げます。そして作られた楽器が馬頭琴です。スーホの作り出した馬頭琴は草原中に拡がりました。
はじめから終りまで、全身、耳にして聞き入っていたうみぐみさん。スーホの歓び、悔しさ、悲しさ全てを共にしながら、” しーん ” と静まりかえったひとときでした。
それぞれの心の中での叫びをおさえながら、この大きな物語を全員で聞き終えたことに感動しました。
昔、この幼稚園にチボラグさんというモンゴル一番の馬頭琴奏者の方が来て下さり、演奏して下さったことがあり、その音色が今でも耳に残っています。
又、そんな機会を作りたいですね。楽しい冬休みをお過ごしください。